サウナが精子の質に悪影響?妊活中男性が避けるべき10つの習慣

 

そろそろ妊活を始めたいけど、何から手を付ければ良いの…?

妊活を考えている男性の中には、このような悩みを抱えている方も多いのでは?

妊活のために「やるべきこと」は産婦人科の先生などから教えてもらえますが、逆に「やってはいけないこと」を知る機会は少ないですよね。

実は、私たちが日々何気なく行っている生活習慣の中にも、妊活に悪影響を及ぼす行為があります。

今回は、妊活中の男性が気を付けたい10つの生活習慣をご紹介します。

生殖力が低下するメカニズムも解説していますので、是非参考にしていただき、より良い妊活を始めましょう。

 

生殖力低下のメカニズム

男性の生殖力が低下する仕組みには、どういった要素が関係しているのでしょうか?

まずは、生殖力低下の3つのメカニズムを解説します。

 

テストステロンの減少

男性ホルモンの一種・テストステロン

体格がしっかりしてきたりひげが生えるなど、テストステロンは男性特有の体の変化をもたらします。

また、男性の生殖機能においてもテストステロンは重要な役割を担う存在。

ある研究では、正常な精液と異常がみられる精液を分析・比較しています。

その結果、異常がみられる精液はテストステロン値と一酸化炭素値が低いことが確認され、テストステロンと一酸化炭素が低レベルであることと精液の異常には関係性があることが示唆されています。[出典]

また、多数の研究をメタ分析した論文では、テストステロン療法が勃起機能の改善に効果的であると結論づけられています。[出典]

体内のテストステロン量を十分に保つことは、精液の質や男性機能の改善にも関係しているのです。

 

睾丸周辺の温度上昇

精子が作られる精巣は、温度に弱い存在!

精子の生成のためには、精巣の温度は体温よりも若干低く保つことが理想的と言われています。

精巣を包んでいる睾丸が男性の股の間にぶら下がっているのは、効率的に熱を逃がすためなんですよ。

日本の基礎生物学研究所や横浜市立大学大学院などのグループが発表した研究では、マウスの精子形成過程と精巣温度の関係に着目。

精巣温度が30℃、36℃から39℃の温度帯では、精子形成の途中過程で障害が発生し、32℃から35℃までの温度帯では精子形成過程が全て満たされたことが確認されています。[出典]

精子形成を阻害しないためにも、睾丸周りの温度にも着目してみましょう。

 

偏った栄養バランス

質の良い精子のためには、もちろん栄養素の摂取も欠かせません。

食生活が精子の質に与える影響を分析したメタ解析では、亜鉛やセレン、ビタミンC・Dなどの栄養素が精子の数や運動性に良い影響を与えると結論づけられています。[出典]

一方で、加工食品や脂質の多い食品精子の質を悪化させる可能性もあわせて示されました。

特定の栄養素だけを取れば良いというわけではなく、まんべんなく栄養を摂取することがカギ!

一般的に良いと言われているからと言って、ミネラル成分や特定の栄養素だけを摂取するのではなく、健康的な食事を心がけましょう。

 

妊活中男性が避けるべき10つの生活習慣

ここまで、生殖機能の低下に影響する要素をお伝えしました。

続いて、妊活中の男性が特に気を付けたい10つの生活習慣をご紹介します。

 

長時間のサウナやお風呂

汗を流してスッキリと整うサウナ

”サ活”が趣味の男性も多いかと思いますが、長時間のサウナは精子の形成に悪影響を及ぼすことが分かっています。

無精子症の男性10名を対象に行った研究では、80~90°Cで週2回・15分のサウナ浴を3か月間行い、その前後で精子の各パラメータを評価。[出典]

その結果、サウナ浴終了後に精子の数や精子の運動性が顕著に低下している事が明らかになりました。(ただし、これらの影響はサウナ浴終了から6カ月以降に完全に回復)

妊活をしている間は、体を温めるサウナやお風呂に長時間入る行為は控える方が賢明と言えるでしょう。

 

膝上にノートパソコンを載せた状態での作業

仕事中にも、妊活に悪影響をもたらす行為が潜んでいます。

太ももにノートパソコンをおいて仕事をしている方はいませんか?

健康な男性を対象に太ももの上で60分の間ノートパソコンを使用してもらったところ、ノートパソコンを置かなかった男性と比べて陰嚢部分の温度が有意に上昇したことが確認されていました。[出典]

また別の研究では、健康な男性29名の精液サンプルをWi-fiに接続されたノートパソコンに4時間暴露し、曝露していない精子と状態を比較しました。[出典]

その結果、Wi-fiに接続したノートパソコンに曝露させた精液の方が精子の運動性が著しく低下したことが確認されています。

精子の形成や質のためにもノートパソコンを使う際は太もも付近に置かず、机の上に乗せて使用することをオススメします。

 

長時間の自転車ライド

通勤や休日の外出時に自転車に乗る方も多いのでは?

自転車に乗ると睾丸をサドルに押し付ける体勢となってしまうため、妊活にとってはあまり良い行動とはいえません。

イランの大学では、24名の男性サイクリストが16週間のサイクリングトレーニングに参加する間、様々なタイミングで彼らの精液サンプルを取得して成分の分析を実施しています。[出典]

その結果、トレーニング後に精液量や精子の運動率精子の数や精子形態などのパラメータが低下していたことが確認されました。

この内容から、長時間のサイクリングは精液や精子の質に悪影響を及ぼす可能性が高いと言えます。

また、自転車に乗ると体が前傾姿勢になりますが、この体勢だと股間部に熱がこもりやすくなってしまいます。

妊活中はバス通勤にしたり、できるだけ徒歩で移動するなど、自転車に乗る機会を減らしてみましょう。

 

ピッタリとした下着の着用

だぼだぼしておじさんっぽいトランクスよりも、ピタッとしてスタイリッシュなボクサーパンツが好み。

そんな妊活中の男性は、今すぐ下着を見直してください!

下着の種類と精子の間にも関係性があることが分かっています。

32歳から39歳の男性合計656名から精液サンプルと過去3カ月間に着用した下着の種類のアンケートを取り、精液の質と下着の種類との関係性を分析した興味深い研究が。

気になる結果は、普段トランクスタイプの下着を着用している男性は、ビキニタイプやブリーフタイプといった下着を着用している男性よりも精子濃度が25%高く精子の総数が17%多いとのこと!

ピッタリとしているボクサーパンツよりも、ゆったりとしたトランクスタイプの方が睾丸の温度を下げる効果が高いため、このような結果が出ているとみられています。

妊活中だけでも、トランクスタイプの下着に変えてみませんか?

 

ファストフードばかりの食事

ハンバーガーやフライドチキンなど、食事をファストフードだけで済ませていませんか?

ファストフードの代名詞・ハンバーガーに使われる加工肉は、精子数や運動率への悪影響が指摘されています。[出典]

また、業務用の揚げ油に含まれるトランス脂肪酸の摂取精子の質低下との関係性を示唆した論文も。[出典]

健康な精子を生み出すためには、ファストフード中心の食生活を見直すことが大切です。

 

大量のアルコール摂取

大量のアルコールを摂取することも、妊活においては避けるべき行動です。

南デンマークの大学では、18歳から28歳の男性1,221名から血液と精液のサンプルを取得すると共に、日頃の飲酒状況についてアンケートを実施しました。[出典]

その結果をまとめたところ、習慣的なアルコールの摂取量と正常な精子の割合に負の相関があることが確認されたのです。

この相関関係は週に5杯以上飲酒する男性でみられ、特に週25杯以上飲酒する男性で顕著に確認されました。

また、週に40杯以上飲酒する男性は、週に1から5杯飲酒する男性と比べて精子の濃度が33%低下していたことも分かっています。

1日1杯など少量であれば問題ありませんが、過剰なアルコールの摂取は是非控えてください。

 

睡眠不足や睡眠の質低下

男性ホルモンのテストステロンは、寝ている間に分泌されます。

そのため、睡眠時間が足りなかったり睡眠の質が低下してしまうと、テストステロン分泌量が減少してしまいます。

実際、10名の男性を対象に睡眠時間の制限とテストステロン値との関係性を調査した研究では、1日5時間睡眠に制限された場合テストステロン値が10%から15%低下したことが報告されています。[出典]

また別の研究では、981名の中国人男性を睡眠時間や就寝時間ごとにグループ分けして精子に及ぼす影響を調査したところ、睡眠時間が短い男性や就寝時間が遅い男性は、他のグループと比較して精子数や生存率が低いほか、精子を攻撃する存在の抗精子抗体(ASA)量が増加した事が確認されています。

テストステロンは精子の質にとって重要な要素ですから、妊活中はしっかりと睡眠を取ってテストステロンの分泌を促しましょう。

 

運動不足

忙しい毎日を送っていると、なかなか運動する機会がありませんよね。

ですが、運動不足も妊活においてはマイナスの要素と考えられています。

ハーバード公衆衛生大学で行われた研究によると、週に15時間以上・中程度から激しいペースで運動していた男性は、週の運動時間が5時間未満の男性と比べて精子数が73%高かったことが確認されています。[出典]

さらに、週に20時間以上テレビを見ていた男性は、ほとんどテレビを見ていない男性と比べて精子数が44%低かったことも明らかになりました。

テレビを見る時間があるなら、運動した方が精子の数には好影響なようですね。

 

過度な禁欲

妊活中は、精子を蓄えるために禁欲の期間が必要です。

しかしながら、過度に我慢してしまうと逆に精子に悪影響をもたらすことも。

2,458名もの男性を対象に精液分析を行ったところ、禁欲の期間と精子濃度などに有意な正の相関関係があったものの、一方で精子の運動性や生存率に有意な負の相関関係が見られたことが明らかになったのです。[出典]

別データでは禁欲期間が10日間を超えないことが推奨されていますので、この値を参考に妊活を進めると良いでしょう。[出典]

 

育毛剤・精神安定剤など薬の利用

妊活においては、普段使っている薬の使用も控える必要が。

育毛剤の一種・フィナステリドは、精子の質に影響を与えるとされています。

低用量フィナステリドを常用している男性の精子を調査したところ、服用中は精子のDNAが損傷割合を示すDFIの値が30%だったのに対し、低用量フィナステリドの服用を中止して3か月後に調査するとDFIの値が21%に低下していたことを示すデータも。

増毛に向けた投薬は、妊活終了後に始めましょう。

また、一般的な抗うつ薬SSRIもDFIへの影響が示唆されており、正常な精液パラメータを持つ男性であってもSSRIを服用することによってDFIの値が上昇したことが確認されています。

投薬と妊活を並行して進めたい場合は、主治医に相談して指示をあおぐことをオススメします。

 

生活習慣を見直して妊活の成功に一歩近づこう!

今回は、男性の生殖機能低下のメカニズム妊活中に控えたい10つの生活習慣について解説しました。

何気ない日々の習慣が、生殖機能にとっては良くない行動であることがお分かりいただけましたか?

裏を返せば、これらの生活習慣を控えることで精子の量や質の向上にも繋がります。

今回の記事を参考にしていただき、毎日の生活を見直してみましょう。

皆さんの妊活が、実りあるものになることをお祈りします。